大会展望

第3回アジア空道選手権大会 展望

 

【-230】

2008年の第1回アジア選手権で3位、2017年のワールドカップでは目黒雄太に完勝し、準優勝(優勝はコリャン・エドガー)しているヤーマノフ・ルスタン(カザフスタン)を日本勢が止められるか? がテーマ。また、2017年ワールドカップ準決勝でエドガーに敗れたツルバット(モンゴル)も脅威。日本勢では、‐230クラス3連覇、2015年無差別準優勝の目黒雄太と谷井翔太がツートップだが、小芝裕也&近田充の真っ向勝負をしない“柳に風”のような組手スタイルが海外勢のラッシュを丸め込めるか?U19カテゴリーから昇格したばかりの菊地逸斗、荒井壱成、高垣友輝のスピードがベテランを喰うか? も、楽しみである。

↑目黒。昨年、今年と2年連続で階級別全日本決勝KO勝利。167㌢、63㌔。

【-240】

この階級の2015年全日本王者・川下義人、2016年全日本王者・田中洋輔、今年の全日本王者・神代雄太が揃い踏み。さらに、2014世界選手権における唯一の日本人優勝者…9年ぶりに日本が生んだ世界王者である中村知大が、本来の階級-230からクラスアップして参戦。盤石の布陣だ。一方、実力が評価されながら、全日本大会優勝歴のない服部晶洸、巻礼史は、下剋上を起こし、世界選手権出場へ向け猛アピールをしたいところだろう。海外勢の経歴をみたところ、この日本人の闘争に割って入れそうな実績を持つ者は見当たらないが、思いもよらぬ強豪が潜んでいるのが国際大会なので、油断はならない。

↑9・10関東地区大会で、世界選手権以来3年ぶりに試合復帰した中村(奥)。川下、田中、神代、巻、服部……誰と当たっても初対戦となる。

【-250】

セーム・シュルト以来19年振りの大道塾外団体所属の全日本王者となった加藤智亮が、大道塾外所属の日本人選手として、初の空道国際大会優勝者となるのか? その加藤と激しいポイントの奪いあいを展開した藤田隆、加藤と1勝1敗の山崎順也が肉薄する。伊東駿、安富北斗、渡邉憲正らホープ勢が、代表に抜擢された期待に応えられるかも、注目したい。

↑渡邉(左)は9・10関東地区大会で一般カテゴリーデビューを果たしたが、いきなり全日本選手権上位進出歴のある野田洋正に完勝。

【-260】

前回アジア選手権で優勝、MMAのプロ選手としても活躍するキム・ギヒュ(韓国)や2008年の第1回アジア選手権で優勝したカブディエフ・テルザン(カザフスタン)など、海外強豪も多いが、この階級の今年の全日本王者・清水亮汰、その清水と決勝を争った伊藤新太、2014・2016年の全日本王者・加藤和徳に加え、2015・2016と2年連続で全日本無差別ベスト4の押木英慶、その押木に9・10関東地区大会で勝利した望月將喜、前回世界選手権でロシア人選手相手に健闘した渡部秀一・辻野浩平と、日本勢も十分な布陣。

↑キム・ギフュ
↑9・10関東地区大会。日本拳法仕込みのアテ勘のよさで、押木に右ストレートをヒットさせ、ポイントを奪った望月。
↑清水。空道以外の格闘技経験をもたず、それでいて、突き、蹴り、絞め技…すべてにおいて勝負を決する技量を有する。

【-270】

今春の全日本260+決勝で野村幸汰に勝利した岩﨑大河と、世界選手権でロシア人と真っ向勝負を演じ、前のめりに倒れたスカーフェイス・伊藤征章が揃い踏み。今年のワールドカップ準優勝であるバイラム・ゴザロフ(アゼルバイジャン)を止められるか?

↑バイラム・ゴザロフ(アゼルバイジャン)
↑岩﨑。

【+270】

国内大会では得意の投げ技を自在に決められる野村幸汰だが、過去、パワーで同等の海外の選手と対する国際大会においては、必ずしもその持ち味を発揮できていない。昨年のワールドカップでも、インドのバハベジュ・バンワラに右ストレートで効果を奪われ、相手が反則を犯してたことで勝利を得るも、決勝ではロシア人にポイントを奪われ完敗。今回、バンワラが参戦するだけに、リベンジを果たすとともに、これまで以上の技術をみせて欲しい。バンワラ以外では、2008年の第1回アジア選手権で3位となったカーメット・カキモフ  (カザフスタン)も侮れない。

↑バハベジュ・バンワラ(インド)
↑野村。柔道全日本選手権ベスト16、空道全日本選手権2016無差別王者。188㌢、112㌔

【女子軽量】

U19カテゴリーから昇格した小柳茉生の蹴り技、作田千代美の寝技、そして今年の全日本王者・大倉萌の総合力、いずれも、海外勢を制するに十分と思える。逆にいえば、女子競技が国際大会において階級別で行われる場合、軽いクラスにおいては“日本人女子は体格的に非力だから”という言い訳はできない。

↑9・10関東地区大会での小柳の蹴り。軸足の傾きをみれば、体重を蹴り脚に乗せていることがよくわかる

【女子重量】

不動の全日本王者となりつつある大谷美結が、2017年ワールドカップに続き、国際大会連覇なるか? 1年後の世界選手権での日本人初の女子世界王者誕生に向けては“最低でも優勝”と考えたい。

↑大谷